学術集会長 挨拶
一般社団法人日本危機管理医学会の第一回学術集会のメインテーマを「我々はサピエンスたりうるのか」とし、加えてサブテーマとして「我々はなぜ科学の成果を社会実相できないのか」としました。
人類が直面する危機を医学を根拠に軽減・除去するための方法論を追求する中で、我々は本当にその方法論を科学的根拠にたって追求できるのか、追求するためのいかなる知力有しているのか、手にした方法論を実相するにあったっての障害はなんで、その障害を乗り越えるためのタフな知性を有しているのか。こうした問いと疑問を柱に、幾つかのテーマを設定し、それぞれに議論の場を配置しました。
COVID―19によるパンデミックでは7億人をこえる感染者と700万人を超える死者を出したとされています。我々人類に襲いかかった大きな危機でした。生物は環境変化に対応し、あるものは適応を遂げて存続し、適応に至らなかった種は歴史の舞台からさっていきました。パンデミックの最中、「かつての日常」への追慕が世の中に蔓延しました。しかし、変化が起きた時、かつてを偲び懐かしむだけでは、変化に適応をすることはできません。
COVID―19から学び、COVID-19を契機に考え、他の起こりうる危機に、医学を根拠にいかに対応することができるのか、その対応にいかなる困難が予想されるのか。学術集会長として、日本危機管理医学会第一回学術集会を、想像的混沌を生み出す場にしたいと考えます。
2024年9月1日
第一回日本危機管理医学会学術集会
会長 細谷 辰之